高齢労働者の転倒予防|理学療法士が解説 - ブログ

高齢労働者の転倒予防|理学療法士が解説

職場で増える転倒リスクと作業環境の見直し

高齢労働者と転倒リスク

日本では高齢労働者の割合が増えており、多くの職場で60代以降の労働者が働いています。
経験豊富な人材が長く働くことは企業にとって大きな強みですが、その一方で職場の安全対策として重要になっているのが 転倒予防です。

厚生労働省の労働災害統計でも、転倒は最も多い労働災害の一つとされています。
特に高齢労働者では、身体機能の変化が影響し、転倒のリスクが高まる可能性があります。転倒により、1か月以上の離職リスクは高く、さらには復職への恐怖感や社会的閉じこもりへの影響などもあります。

そのため、これからの職場では転倒リスクを理解し、作業環境を整えることが重要になります。


加齢とバランス能力

加齢に伴い、身体のバランス能力には変化が起こることがあります。

例えば次のような変化です。

筋力の低下(全身が衰えるわけではなく、特に下肢筋力が低下します)
感覚機能の変化(足裏の感覚低下は転倒に深く関与します。視覚や聴覚などの機能の変化も見過ごせません)
反応速度の低下(躓いた際のとっさの判断や動作が低下します)
関節可動域の低下(足首が硬くなり、躓きやすくなることも)

これらの変化により、身体の姿勢を安定して保つことが難しくなる場合があります。

特に歩行中や作業中に姿勢が崩れたとき、体勢を立て直す反応が遅れることがあります。
その結果、転倒につながる可能性があります。


職場環境と転倒

転倒は身体機能だけでなく、職場環境とも関係しています。

例えば次のような環境です。

滑りやすい床
段差
狭い通路
照明不足
不安定な足場

このような条件では、バランスを崩しやすくなります。

特に高齢労働者では、小さな段差や床の状態の変化でも転倒につながる可能性があります。

そのため、転倒予防では作業環境の整備が重要になります。


作業姿勢と転倒

作業姿勢も転倒リスクに影響します。

例えば

前屈姿勢での作業
中腰姿勢
身体をひねる動作
高い場所での作業

このような姿勢では、身体の重心が変化します。

重心が足の支持基底面から外れると、身体のバランスが崩れやすくなります。

また、重い物を持つ場合には重心が移動し、姿勢の安定性が低下することがあります。


足元環境の重要性

転倒予防では足元環境が重要です。

例えば

床の滑りやすさ
作業靴の状態
床面の凹凸
段差
照明
大きすぎる靴
靴底の摩耗

などです。

滑りやすい床では、歩行中や作業中に足が滑る可能性があります。
また、靴底が摩耗している場合も滑りやすくなることがあります。

さらに、床の凹凸や段差はつまずきの原因になることがあります。

そのため、足元環境の整備は転倒予防の基本的な対策になります。


作業動作と転倒

作業中の動作も転倒に影響します。

例えば

急な方向転換
後ろ向きの移動
荷物を持った状態での移動

このような動作では、身体のバランスが崩れやすくなることがあります。

また、視界が遮られる場合には足元の状況が見えにくくなることがあります。

そのため、作業動作の見直しも転倒予防の重要な要素になります。


作業改善の考え方

転倒予防のためには、作業環境と作業方法を見直すことが重要です。

例えば次のような改善があります。

危険マップの作成
床環境の整備
段差の解消
照明の改善
滑りにくい作業靴の使用
作業スペースの確保

このような対策により、転倒リスクを減らすことができます。


理学療法士が関わる意義

転倒予防では、身体機能と作業環境の両方を評価することが重要です。

理学療法士は

歩行
姿勢
バランス能力

などを評価する専門職です。

そのため、作業中の身体の動きや姿勢を観察し、どのような動作が転倒リスクにつながるかを分析することができます。

さらに、人間工学の視点を取り入れることで、現場で実行可能な作業改善を提案することが可能になります。


高齢労働者対策としての転倒予防

2026年からは、高年齢労働者の労働災害防止対策が事業者の努力義務として求められるようになります。

そのため、多くの企業で

転倒リスク評価
作業環境の見直し
安全対策の強化

などが進められる可能性があります。

転倒予防は高齢労働者対策の重要なテーマになります。


参考文献

McGill SM
Low Back Disorders

Chaffin DB
Occupational Biomechanics

ISO 11228
Manual Handling

厚生労働省
高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン


腰痛についてご相談ください

高齢労働者の転倒や腰痛は、体操や注意喚起だけでは十分に防げない場合があります。
作業姿勢、作業環境、足元条件など、作業そのものの身体負担を整理することが重要です。

PROWELLでは理学療法士が職場の身体リスクを評価し、作業姿勢や作業環境を含めた改善提案を行っています。

次のようなお悩みがある企業様はご相談ください。

高齢労働者の転倒が心配
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