
持続姿勢と腰痛の関係|理学療法士が解説
理学療法士が解説する職場の身体負担
持続姿勢とは
職場で発生する腰痛の原因の一つに「持続姿勢」があります。
持続姿勢とは、同じ姿勢を長時間続ける作業のことを指します。
例えば次のような作業です。
医療現場
ベッド上ケア
患者の体位保持
製造業
組立作業
検査作業
物流
ピッキング作業
荷物仕分け
これらの作業では、体幹前屈や同じ立位姿勢が長時間続くことがあります。
作業姿勢評価法の一つであるRULAでは、同一姿勢を1分以上保持する作業は筋負担が増える可能性があるとされています。
持続姿勢で身体に起こる変化
同じ姿勢を続けると、筋肉や関節には次のような変化が起こります。
筋疲労の蓄積
血流の低下
椎間板への持続的圧縮
筋肉は収縮を続けると血流が低下し、疲労物質が蓄積します。
この状態が続くと筋疲労が進み、腰部の不快感や痛みにつながることがあります。
また、椎間板には持続的な圧縮力が加わります。
椎間板は水分を含んだ構造ですが、長時間の圧縮によって水分が減少し、腰部の負担が増えることが報告されています。
前屈姿勢の持続は腰部負担が大きい
特に注意が必要なのは、前屈姿勢が続く作業です。
体幹前屈姿勢では、脊柱起立筋の活動が増加します。
前屈角度が大きくなるほど筋活動が増加することが研究で示されています。
30度前後
筋活動が増加
30〜60度
高い筋活動
60度以上
屈曲弛緩現象が出現
屈曲弛緩現象とは、深い前屈で脊柱起立筋の活動が減少する現象です。
ただしこの状態では、腰部の支持が靭帯や椎間板に依存するため、組織への負担が増える可能性があります。
そのため、前屈姿勢が長時間続く作業では注意が必要です。
職場でよくみられる持続姿勢
医療現場
・・・ベッド上ケア
・・・患者の体位変換
製造業
・・・前屈姿勢での組立
・・・低い作業台での検査
物流
・・・前屈姿勢でのピッキング
これらの作業では、作業高さや作業配置の影響で前屈姿勢が続くことがあります。
持続姿勢を減らす作業改善
持続姿勢を減らすためには、作業環境の見直しが重要です。
作業高さを調整する
・・・作業台の高さを適切にすることで前屈姿勢を減らせます。
作業対象を身体に近づける
・・・作業対象が身体から遠いと前屈姿勢が増えます。
作業時間を分散する
・・・同じ姿勢が続く場合は作業交替や休憩が有効です。
持続姿勢の評価が腰痛予防につながる
腰痛対策では、体操やストレッチだけでなく、作業そのものの身体負担を評価することが重要です。
特に次の3つの要素を整理することで、腰痛リスクを把握することができます。
作業姿勢
作業距離
作業時間
これらを整理することで、作業改善の方向性が見えてきます。
まとめ
持続姿勢は職場の腰痛の重要なリスク要因です。
同じ姿勢が続く作業では
作業高さ
作業距離
作業時間
を見直すことで、腰部負担を減らすことができます。
腰痛予防のためには、作業そのものの身体負担を評価することが重要です。
参考文献
McAtamney L, Corlett EN
Rapid Upper Limb Assessment
Callaghan JP, McGill SM
Low back joint loading and kinematics
NIOSH
Work practices guide for manual lifting
職場の腰痛対策について相談できます
職場の腰痛は、ストレッチや体操だけでは十分に改善しないことがあります。
作業姿勢、作業距離、作業時間など、作業そのものの身体負担を整理することが重要です。
PROWELLでは理学療法士が職場の身体リスクを評価し、現場で実行可能な作業改善を提案しています。
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