
繰り返し作業と腰痛|理学療法士が解説
作業時間・累積負荷という見落とされやすいリスク
腰痛は「重い物」だけが原因ではない!
職場の腰痛対策というと、多くの人が次のような作業を思い浮かべます。
重量物の持ち上げ
前かがみ作業
中腰姿勢
確かにこれらは腰部負担の大きい作業として知られています。
しかし実際の現場では、必ずしも重い物を扱っていなくても腰痛が発生することがあります。
その原因の一つとして重要なのが
繰り返し作業
持続姿勢
累積負荷
といった 作業時間の要因です。
同じ動作を繰り返す作業では、筋肉や関節に負担が徐々に蓄積していくことがあります。
繰り返し作業とは
繰り返し作業とは、同じ動作を一定の頻度で繰り返す作業を指します。
例えば次のような作業です。
部品の組立
ピッキング作業(ネットショッピングのセール期間、お歳暮時期などは特に注意が必要です)
荷物の積み替え患者の移乗介助(起床介助の時間帯、夜間就寝前の時間帯などは、こういった作業密度が上がる傾向があります)
物品の補充作業(小売業での腰痛リスクの高い場面になります。)
このような作業では、同じ姿勢や動作が繰り返されることがあります。
人間工学の分野では、一定以上の頻度で動作が繰り返される場合、身体負担が増える可能性があるとされています。
例えばRULA(Rapid Upper Limb Assessment)では、毎分4回以上の動作が繰り返される場合、作業負担の評価に影響する要因として扱われます。
持続姿勢と筋疲労
同じ姿勢が続く作業も腰痛の要因になることがあります。
例えば
前かがみ姿勢
腕を上げた姿勢
中腰姿勢
などです。
筋肉は身体を支えるために働きますが、同じ姿勢が長時間続くと筋肉は休むことができません。
このような状態では
筋疲労
血流低下
筋緊張の増加
などが起こる可能性があります。
筋肉はとても多くの酸素を必要とするため、十分な血流が大切です。そのため、反復作業で筋肉が緊張した場合には、局所的な虚血が生じます。虚血状態での筋収縮は、痛みを感じやすくなります。
RULAでは、1分以上同じ姿勢が続く場合持続姿勢として評価されます。
このような姿勢が長時間続く作業では、腰部負担が増えることがあります。
累積負荷という考え方
職場の腰痛では、1回の動作よりも累積負荷が重要になる場合があります。
累積負荷とは、身体にかかる負担が時間とともに蓄積していくことを指します。
例えば次のようなケースです。
軽い物を何度も持つ
短い前屈を何度も繰り返す
長時間立位作業
1回の動作は小さな負担でも、それが何百回と繰り返されることで身体負担が増える可能性があります。
この考え方は、人間工学や労働衛生の分野で重要な概念として扱われています。
作業時間と腰部負担
作業時間が長くなると、身体にはさまざまな変化が起こります。
例えば
筋疲労
姿勢の変化
動作の不安定
などです。
作業開始直後は安定していた姿勢も、時間が経過すると徐々に崩れることがあります。
例えば
前屈が深くなる
身体をひねる
片側に体重をかける
このような姿勢の変化が、腰部への負担を増やすことがあります。
そのため、作業評価では
姿勢
距離
重量
だけでなく
作業時間
も重要な評価項目になります。
作業改善の考え方
繰り返し作業や持続姿勢の負担を減らすためには、作業方法や作業環境を見直すことが重要です。
例えば次のような方法があります。
作業高さの調整
作業距離の短縮
作業分担
休憩の設定
補助具の使用
これらの方法によって、身体負担の累積を減らすことができます。
理学療法士が関わる意義
職場の腰痛対策では、身体の動きと作業環境の両方を考える必要があります。
理学療法士は
姿勢
動作
筋活動
などを評価する専門職です。
そのため、作業中の身体の使い方を観察し、どのような姿勢や動作が負担になっているかを分析することができます。
さらに、人間工学の視点と身体機能の視点を組み合わせることで、現場で実行可能な作業改善を提案することが可能になります。
まとめ
職場の腰痛は、重い物を扱う作業だけで起こるわけではありません。
特に
繰り返し作業
持続姿勢
累積負荷
といった作業時間の要因が関係することがあります。
腰痛予防のためには、作業姿勢だけでなく作業時間も含めた評価が重要になります。
参考文献
McGill SM
Low Back Disorders
Chaffin DB
Occupational Biomechanics
ISO 11226
Evaluation of Static Working Postures
NIOSH
Work Practices Guide for Manual Lifting
腰痛についてご相談ください
職場の腰痛は、ストレッチや体操だけでは十分に改善しないことがあります。
作業姿勢、作業距離、作業時間など、作業そのものの身体負担を整理することが重要です。
PROWELLでは理学療法士が職場の身体リスクを評価し、作業姿勢や作業環境を含めた改善提案を行っています。
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