
累積負荷と腰痛|理学療法士が解説
作業時間の積み重ねが身体に与える影響
累積負荷とは
職場の腰痛対策では、重い物を持ち上げる作業が注目されることが多くあります。しかし実際の現場では、必ずしも重量物作業だけが腰痛の原因とは限りません。
比較的軽い作業であっても、長時間繰り返されることで身体への負担が蓄積することがあります。このような身体負担を「累積負荷」と呼びます。
累積負荷とは、単発の大きな負担ではなく、小さな負担が時間とともに積み重なることで身体に影響を与える状態を指します。
例えば次のような作業です。
製造業
前屈姿勢での組立作業
検査作業
物流
軽量物のピッキング
仕分け作業
医療・介護
患者移乗
ベッド上ケア
これらの作業では、1回の負担はそれほど大きくなくても、長時間の作業によって身体への負担が蓄積することがあります。
累積負荷と腰部負担
腰部への負担は、次の3つの要因によって決まります。
作業姿勢
作業距離
作業時間
これらの要因が組み合わさることで、腰部への負担が大きくなります。
例えば、体幹前屈姿勢は腰部負担を増やす姿勢の一つです。前屈姿勢では脊柱起立筋の活動が増加し、腰部への力学的負担が高くなることが報告されています。
さらにこの姿勢が長時間続くと、筋疲労や椎間板への圧縮が持続するため、身体への負担が蓄積していきます。
このように、作業時間が長くなるほど累積負荷は増加します。
椎間板への影響
腰椎の椎間板は、圧縮力を受けることで水分が減少します。
長時間の作業では、この圧縮が持続するため、椎間板への負担が増える可能性があります。
研究では、持続的な圧縮や反復的な負荷が椎間板の変性と関連する可能性が示されています。
また、長時間の前屈姿勢や中腰姿勢では、腰椎の前弯が減少し、椎間板に加わる圧縮力が増えることがあります。
そのため、軽作業であっても長時間続く場合は注意が必要です。
累積負荷が大きくなる作業
累積負荷は、特定の職種だけでなく多くの職場で発生します。
製造業
組立作業
検査作業
ライン作業
物流
ピッキング作業
仕分け作業
医療・介護
患者移乗
体位変換
これらの作業では、同じ姿勢や同じ動作が長時間続くことがあります。
このような作業では、作業時間の管理が重要になります。
作業時間の考え方
作業評価では、作業時間も重要な評価項目です。
例えば、同じ姿勢が1分以上続く場合や、同じ動作が高い頻度で繰り返される場合には、筋負担が増える可能性があるとされています。
さらに、同じ作業が長時間続く場合には、身体への累積負荷が増加します。
そのため、作業時間の分散や休憩の設定が重要になります。
累積負荷を減らす作業改善
累積負荷を減らすためには、作業環境や作業方法を見直すことが重要です。
作業交替
同じ作業を長時間続けないようにする
作業分割
作業内容を分ける
休憩の設定
筋疲労の回復時間を確保する
作業配置の改善
作業距離を短くする
作業高さの調整
前屈姿勢を減らす
これらの対策により、身体への累積負荷を減らすことができます。
腰痛対策は作業評価が重要
腰痛対策では、ストレッチや体操だけでなく、作業そのものの身体負担を整理することが重要です。
特に次の3つの要素を整理することで、腰痛リスクを評価することができます。
作業姿勢
作業距離
作業時間
これらを評価することで、腰痛につながる要因を整理することができます。
作業環境を見直すことで、腰部負担を減らすことが可能になります。
まとめ
累積負荷は職場の腰痛の重要な要因の一つです。
重い作業だけでなく、軽い作業でも長時間続くことで身体への負担が蓄積します。
腰痛予防のためには
作業姿勢
作業距離
作業時間
を整理し、作業改善を行うことが重要です。
参考文献
Callaghan JP, McGill SM
Low back joint loading and kinematics
NIOSH
Work practices guide for manual lifting
Adams MA, Dolan P
Intervertebral disc degeneration and mechanical loading
Silverstein BA
Occupational risk factors for musculoskeletal disorders
職場の腰痛対策について相談できます
職場の腰痛は、ストレッチや体操だけでは十分に改善しないことがあります。
作業姿勢、作業距離、作業時間など、作業そのものの身体負担を整理することが重要です。
PROWELLでは理学療法士が職場の身体リスクを評価し、現場で実行可能な作業改善を提案しています。
次のようなお悩みがある企業様はご相談ください。
職場で腰痛を訴える従業員が増えている
作業姿勢や作業方法を見直したい
高齢労働者の作業負担が心配
エイジフリー補助金の活用を検討している
