ピッキング作業と腰痛|理学療法士が解説 - ブログ

ピッキング作業と腰痛|理学療法士が解説

物流現場の身体負担と作業改善

ピッキング作業とは

物流や倉庫業務では「ピッキング作業」が日常的に行われています。
ピッキングとは、倉庫や棚から必要な商品を取り出し、出荷準備を行う作業のことを指します。

EC市場の拡大に伴い、物流業務の重要性は高まっており、ピッキング作業を行う労働者も増えています。しかし、この作業は身体負担が蓄積しやすい作業として知られており、腰痛を訴える労働者が多い作業の一つでもあります。

ピッキング作業では、次のような動作が繰り返されます。

棚から荷物を取る
身体を前に曲げる
荷物を持ち上げる
歩行を繰り返す

これらの動作が長時間続くことで、腰部への負担が蓄積する可能性があります。


ピッキング作業で腰痛が起こる理由

ピッキング作業は、一見すると軽作業に見える場合があります。しかし実際には、腰部負担が発生しやすい要素がいくつも存在します。

主な要因は次の三つです。

作業姿勢
作業距離
作業時間

これらの要素が組み合わさることで、腰部への負担が増える可能性があります。


前屈姿勢が多い作業

ピッキング作業では、棚の下段から商品を取り出す動作が多くなります。

このとき、作業者は体幹を前に曲げる姿勢をとることがあります。
体幹前屈姿勢では脊柱起立筋の活動が増え、腰部への負担が大きくなる可能性があります。

また、前屈姿勢が長時間続く場合、椎間板への圧縮力が持続することがあります。

そのため、低い棚からのピッキングが多い作業では、腰痛リスクが高くなる可能性があります。


作業距離と腰部モーメント

ピッキング作業では、棚の奥にある荷物を取るために腕を伸ばすことがあります。

このような動作では、身体から荷物までの距離が長くなります。
身体から遠い位置で荷物を持つと、腰部モーメントが増加します。

腰部モーメントは次の式で説明されます。

腰部モーメント=荷重 × 距離

つまり、同じ重量の荷物でも身体から遠い位置で持つほど腰への負担が大きくなります。

このため、棚の奥にある商品を取り出す作業では腰部負担が増える可能性があります。


反復動作と累積負荷

ピッキング作業では、同じ動作が繰り返されることが多くあります。

例えば次のような動作です。

荷物を取る
荷物を持つ
歩く
荷物を置く

これらの動作が一日に何百回も繰り返されることがあります。

このような反復動作では、小さな負担でも時間とともに蓄積し、身体への累積負荷が増える可能性があります。

また、長時間の作業では筋疲労が蓄積し、腰痛につながる可能性があります。


ピッキング作業の改善方法

ピッキング作業の身体負担を減らすためには、作業環境や作業方法を見直すことが重要です。

主な改善方法は次のとおりです。

棚の高さを調整する
    腰の高さ付近に商品を配置することで前屈姿勢を減らす

重量物の配置を見直す
    重い荷物は腰の高さ付近に配置する

作業距離を短くする
    棚の奥行きを見直す

補助具を使用する
    台車や昇降機を活用する

作業交替を行う
    同じ作業が長時間続かないようにする

これらの改善によって、腰部負担を減らすことができます。


高齢労働者とピッキング作業

近年、多くの職場で高齢労働者が増えています。

高齢労働者の場合、筋力や柔軟性の低下により、前屈姿勢や重量物作業の負担が大きくなる可能性があります。

そのため、作業環境を見直し、身体負担を減らすことが重要になります。

例えば次のような対策が有効です。

作業高さの調整
補助機器の導入
作業方法の見直し

これらの対策は、腰痛予防だけでなく転倒予防にもつながります。


理学療法士が関わる意義

理学療法士は、身体機能や動作分析の専門職です。

作業中の姿勢や動作を観察することで、身体にどのような負担がかかっているかを整理することができます。

例えば次の観点から作業を分析することが可能です。

関節運動
筋活動
身体の力学的負担

これらの視点から作業動作を分析することで、腰部負担の要因を整理することができます。

また、人間工学の視点と身体機能の視点を組み合わせることで、現場で実行可能な作業改善を提案することができます。

職場の腰痛対策では、このような専門的な評価が重要になります。


まとめ

ピッキング作業は、物流現場で広く行われている作業ですが、腰部負担が蓄積しやすい作業でもあります。

腰痛予防のためには

作業姿勢
作業距離
作業時間

を整理し、作業環境を見直すことが重要です。

棚の高さや荷物の配置を改善することで、身体への負担を減らすことができます。


参考文献

Chaffin DB
Occupational Biomechanics

NIOSH
Work Practices Guide for Manual Lifting

Waters TR
Revised NIOSH Lifting Equation

McGill SM
Low Back Disorders


職場の腰痛対策についてご相談ください

職場の腰痛は、ストレッチや体操だけでは十分に改善しないことがあります。
作業姿勢、作業距離、作業時間など、作業そのものの身体負担を整理することが重要です。

PROWELLでは理学療法士が職場の身体リスクを評価し、現場で実行可能な作業改善を提案しています。

次のようなお悩みがある企業様はご相談ください。

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